オヤの種類まとめ。使う道具と素材で、名前が変わる
前の記事では、オヤとはトルコのスカーフの縁飾りから発展した手工芸であること、そしてその技法がひとつではないことを紹介しました。今回は「どんな種類があるのか」を、もう少しくわしく整理してみます。
オヤの名前は主に「使う道具」と「使う素材」によって変わります。まずはそれぞれを見ていきましょう。
道具による分類
イーネオヤ ― 縫い針で編む

縫い針(イーネ)を使い、一目一目結び目を作りながら繊細なモチーフを作り上げる技法です。「原始的なレース編み」と呼ばれることもあり、道具と糸さえあればどこでも作れるシンプルさが特徴のひとつです。一方で結び目は一度作るとほどけないため、間違いのリカバリーがやや難しい側面もあります。
トルコらしい繊細な表現がもっとも出やすいのがイーネオヤだと言われています。
トゥーオヤ ― かぎ針で編む

かぎ針(トゥー)を使い、連続した模様やモチーフを編む技法です。糸玉から直接糸を引き出して編めるため糸の管理がしやすく、編み直しも比較的容易。オヤのなかではもっとも取り組みやすい技法とされており、作り手の数も多いです。
メキッキオヤ ― シャトルで編む

シャトル(メキッキ)を使う、トルコ風のタティングレースです。糸の運び方がいわゆるタティングレースとは異なる部分があり、それによって生まれる独特な表現が魅力。イーネオヤ・トゥーオヤと比べるとやや作り手が少なく、日本でも情報が限られています。タティングレースを経験済みの方は、比較しながら楽しめるかもしれません。
フィルケテオヤ ― ヘアピンレース編み機とかぎ針で編む

ヘアピンレース編み機(フィルケテ)に糸をかけ、かぎ針で編みまとめてレースを作る技法です。道具の構成としてはトゥーオヤにヘアピンレース編み機を加えた派生形といえます。ここで紹介した技法のなかでは最もマイナーですが、幅広で華やかなレースを作れるのが特徴です。
素材による分類
道具の種類とは別に、使う素材の名前がそのままオヤの名前になるケースもあります。
ボンジュックオヤ ― ビーズを使う

ボンジュック(トルコ語でビーズのこと)を編みこんで作るオヤです。あらかじめ糸にビーズを通しておき、編みながら適宜配置していきます。華やかな見た目になるほか、スカーフの縁に重みが加わる点も特徴のひとつ。重みについては「ずり落ちやすくなる」という声と「髪をまとめやすくなる」という声の両方があり、好みが分かれるところです。
ビーズを編みこんでいればそれだけで「ボンジュックオヤ」というわけではなく、たとえばかぎ針でビーズを編みこんだものは「ボンジュックトゥーオヤ」と呼ばれます。道具の分類と素材の分類は、組み合わせて使われます。
プルオヤ ― スパンコールを使う
プル(スパンコール)を編みこんだオヤです。光を反射してきらきらと輝く仕上がりが特徴で、華やかな場面での使用に向いています。
技法を組み合わせて作る
イーネオヤ・トゥーオヤ・メキッキオヤはそれぞれ独立した技法として名前がついていますが、トルコでは複数の技法を組み合わせて独自の表現をする作り手も多くいます。トゥーオヤで編んだ縁編みにイーネオヤの花モチーフを編みつけたり、メキッキオヤで作った丸いモチーフの外側にイーネオヤやトゥーオヤの模様を続けて編んだり——作り手の技術とアイディアによって、さまざまな表現が生まれています。
まとめ
| 名前 | 使う道具・素材 | 得意なモチーフの形 |
|---|---|---|
| イーネオヤ | 縫い針 | 平面・立体どちらも |
| トゥーオヤ | かぎ針 | 平面・立体どちらも |
| メキッキオヤ | シャトル | 平面モチーフ中心 |
| フィルケテオヤ | ヘアピンレース編み機+かぎ針 | 平面モチーフ中心 |
| ボンジュックオヤ | ビーズ+各種道具 | 使用する技法による |
| プルオヤ | スパンコール+各種道具 | 使用する技法による |
このブログではオヤの各種技法のほかタティングレースについても少しずつ取り上げていきます。可愛らしいモチーフのご紹介やその編み方などを知る機会にしてもらえたらと思います。
次の記事からは、道具や糸の選び方など実践的な内容に入っていきます。